三郷ゲーム「JAVAの伝説」
2005/10/2


タイトル
・「JAVAの伝説」第一章 ムルデカか死か
 
 

・「JAVAの伝説」第一章 ムルデカか死か

 筆・紅中兵

 この日は10月とは思えない真夏日で、久々のチーム「俺軍」さん主催ゲームには総数20名ちょっとの参加があった。
我が人参解放軍は初陣を飾る同志イノウエを含め3名の参加であったが、いつもながらその存在感においては他チームに引けを取るものではない。この日のゲームは全般的に戦線は比較的固定されがちではあったものの、我が人参解放軍は午前中から必勝鉢巻で青龍刀突撃をかましたりマルイ南部2丁拳銃で最前線を脅かしたりと暴れまわっていた。

とはいえ、広く左右に展開して防衛ラインを引く敵の前線を個人技だけで抜く事は困難至極、そこで我々はチーム1団となって敵散兵線に殴りこみをかけるべく、突撃発起を「サンパイマティ」、応じて「ムルデカ」と符丁を定め、突入の機会を伺ったのであった。

しかしながら、少人数チームの混合に近い我が陣営は、各チーム毎がその特色ある攻撃を繰り出したにも関わらず、比較的統一指揮が執られている敵軍の堅実な布陣と火力に頼った集中射によって戦況を打開する事が難しく、私も中央本道から迂回路へ、左攻撃線から右の防衛ラインへと戦場を文字通り縦横に駆け回っては遊撃戦を展開していた為、なかなかその機会は訪れなかった。

しかし、天は信じる者に必ず味方する。

我々はラストゲームにて見事大輪の仇花を咲かせ、一矢報いる事が出来たのである。

その後もほぼ同様の展開が続いたまま迎えたラストの1戦、このとき我が人参解放軍陣営は手前フラッグより戦闘を開始した。
ちなみにフィールドの説明をすると、道が出来ていて移動も容易な為に主要な交戦が行われるメインルートは手前フラッグからやや左に一旦進んだ後にフィールドの中央を敵フラッグに向けて突っ切る事になるが、フラッグから直で敵方向に前進した場合、フィールドの右側に当る部分を幾つかのブッシュがあるエリアを抜け、ちょうど敵フラッグとの中間地点あたりで中央のメインルート上に出る事になる。

敵はこのラインを逆に、メインルート沿いに北上し一直線に我軍フラッグを目指して殺到してきたのである。

この時、我が陣営でブッシュ沿いの右側ルートには我が人参軍以外には自衛隊装備者で編成された1隊とスナイパー1名が進んでいた。
さすがにチームの連携を生かし、じりじりと前進していく自衛隊員達。しかしながら敵の火力集中は熾烈を極め、善戦も空しく1人、また1人とタケノコの皮を剥ぐ様にヒットされ散っていく。

そんな消耗戦を繰り広げつつ中央メインルートにかち当たる少し手前まで進攻した時、最後の陸自隊員も倒れとうとうこの方面の友軍は我々の右前方にスナイパーがいるのみとなってしまった。彼は地形を生かし慎重に進んでいるので生き残っているが、ボルトアクションの為に多数の敵を掃滅する事には苦戦しているようだ。

気が付くと敵側が少々騒がしい。

偵察の為、私は人参軍同志達をブッシュ裏に待機させると体を地面に擦り付けるが如き低い匍匐で前進して敵状を伺った。
相当数の敵が終結しつつある様だ。

「・・・あとは、左に1人・・・」

ちょうど敵の声が聞こえた。
どうやら、我が方を寡兵とみてこのまま突進し数を頼りにスナイパーを蹂躙、一気に我軍フラッグを目指す作戦らしい。

反撃の時は来た。敵が動き始める前こそ突撃の機会、今こそ発動すべし!
私は後方で待機中の同志に私のいる線までの前進を促そうとサインを出した。しかし同志達は完全にブッシュ陰に入って待機しているのでハンドサインに気が付かない。
孫子曰く、「兵は拙速なるを尊ぶ」である。ここでもしょもしょとやっていては折角の機会を逃してしまう為、止むを得ない。
進攻方向と攻撃目標を示さねば総員突撃がちぐはぐな方向への進出ともなりかねないので、ええいままよと私は声を張り上げた。

「目標、12時方向・敵の散兵線、サンパイマティー!」

手ごたえはすぐに帰ってきた。

「ムルデカ!」「ムルデカー!」

間髪を入れず起こった雄叫びと共に、人参解放軍の全軍を挙げて敵前に向け猛ダッシュを始めた。私も遅れじと遮蔽物の無い中央メインルートに踊り出る。

いたいた!1、2、3。
定石通り数メートルの間隔をあけて、きれいに横一線に展開している3人の敵兵が視界に飛び込んできた。

不死身モーゼルがフルオートで火を噴く。久々の真夏日に今日も絶好調!36発入りのマガジンは瞬時に空となった。

勿論マガジン交換の暇などなく、弾が切れる頃には敵側からの猛烈な応射が始まり私はあえなくヒット。
ちょうど足場も悪かった為、まるで実弾でも受けたかの様に横転してしまったが、倒れ逝くその時に視界に入ったのは私のすぐ右後方でこの日初参戦を果たした同志イノウエが壮絶な敵銃火を全身に受け、また同様に戦死せんとする姿であった。

どうやら視界に入った3名の後方にも、まだまだ敵兵が存在していたらしい。
友軍による火力支援の無い状況下で真正面からの斬り込み突撃であるから、我々の戦死は当然の結果ではある。しかしながら、討ち果たされてセーフティに戻る道には何故か敵兵もいっぱい歩いてるぞ?

敵兵の1人が振り向いて言った。
「見事です。戦線は崩壊しました。」

聞けば、敵側はこの方面の友軍はスナイパー1人と判断し一気に力押しでフラッグを目指すべく集結途上であり、そこへ我々が「ムルデカ突撃」を敢行し乱射した為に甚大な被害が出て力攻の継続が困難になってしまった、との事だ。

なお、この突撃では同志佐藤人ただ1人が生き残ったのだが、彼はルバング島の小野田さんよろしくその後も巧妙な持久戦を展開し、残存する敵勢力を相手に軍旗陥落まで奮闘を続けたのであった。
 
 

続きは・・・第2章公開を待てぃ!



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