日本紅・怒涛の人海戦術
2013/3/10
筆・紅中兵
この日、前日まではまだ寒くゲーマーの大量参加にはちょっと早い時期であったが、某フィールドにおける東西冷戦ゲームが開催され、我々は東側陣営の中核としてこれに参戦した。
総参加兵力は約30。多いと100人近くが集まるこのフィールドにしては地味な人数だが、こんな時期でも参戦するという事はそれだけガッツがあるという事でもある。
その分濃いゲームとなる事を期待しつつ、開戦となった。
午前の数ゲームは、どうした事か東側が常時劣勢のまま終了。冷静に分析するとイケイケどんどんな東側は不用意に敵の防衛線に引っかかり犠牲を重ねていた様だが、敵の弾よりコミッサールが怖いという雰囲気は出ていたのではないだろうか。
午後になり、ようやく東西戦名物の「人海戦術ゲーム」到来。
これは、西側は弾数無制限でフルオートもOKだが通常通りのヒット判定、東側はセミオートのみだがヒットされても赤旗あるところまで戻れば何度でも復活が可能というもの。
ただし時間制限があるので、東側としては犠牲を重ねながらも前に進んでいくしかない。
十分な兵力があるという前提で10名ずつの単位を編成し波状攻撃を企画していたが、片陣営15名ではそれも難しい。
一応、「なるべく人数が集まってから復活・突撃を仕掛ける様に」と声はかけておいたのだが・・・
結局成り行きのまま開始されたが案の定、最初の全員突撃が粉砕された後は薄く散開した友軍が櫛の歯を抜くように1人、また1人とやられていく。
このままでは前線を押し上げる事も出来ないし、セミとフルの火力差に押されて一方的に損害を重ねるだけだ。
ざっと見たところ前線に留まっているのは5〜6名。しかもそれが随時減っていく。
しかし、やってみるしかないだろう。
私は号令をかけた。
「目標・1時方向の敵兵、総員〜突撃に前へ!」
待ってましたとばかりに、立ち上がって飛び出す友軍将兵。数名とはいえ同時に多方向から一斉に突っ込んでくればこれに抗しきれるものではない。
さっきまで我が軍を完全に抑えこんでいた敵兵はたちまち粉砕、その勢いを駆って中央のメインストリートまで進出する事が出来た。
しかしその先には、大木を利用して隠蔽された新手が待ちかまえる。降り注ぐフルオート。
友軍はたちまち撃破され、生き残りは道の手前にある窪地に貼り付く。
しかし、わずかでも動くと容赦なく撃ち込まれるフルオート射撃に、またしても次々と犠牲者が。
再度しかけるか、そう思った時、頼みとする同志金子も被弾し後退。
戻りを待ちたい。
しかし、その間にも新たな被害が出てしまうだろう。
私は決断した。
「現有兵力で仕掛ける。これは敵だけではなく時間との戦いでもあるのだ」
再び、戦場に号令する。
「目標・前方大木下の敵兵、総員突撃!」
今回も散開していた友軍は全員、そしてちょうど戦場に戻ってきた同志達も参加し、1人での応戦はどうあっても不可能な飽和攻撃をしかける事が出来、大木下の敵兵はあっと言う間に戦死。
我々は遂に敵フラッグを眼前に望む平原地帯まで兵を進めた。
「遂にここまで来たか」
「もう一押しだ」
その時、背後の山岳地帯より銃撃が。
配置を誤って交戦エリア外にいた敵兵が射程ギリギリからの乱射を始めた。
たちまち流れ弾で数名が被弾。
「平原に留まるな!一気に敵軍旗を奪え!」
フラッグ前にも更なるアンブッシュが仕掛けられている恐れは十分にあった。
しかし、我々は如何に犠牲を払っても敵陣に到達しなければならない。
動き始めると戻って来た同志も含め、今回も6名程が敵軍旗に向かい猛然とダッシュをしていた。
そして敵待ち伏せは・・・ない!
戦略を誤った西側は、山上に多数の兵を配置しこれを遊兵としてしまったようだ。
かくして、駆け抜ける将兵は一気に旗を陥し、我が東側陣営はここに貴重な1勝を挙げたのである。