人参軍、敵陣を2度討つ
−−−BBJUNGLE NONSTOP6戦−−−
2010/12/29


2011年9月18日 BBJUNGLE
参戦者:紅中兵・金子・赤口のカタヤン
総人数:35名
筆:同志金子(序・1−4章)、紅中兵(5章)



 


序章:最前線にて

敵味方双方より撃たれた銃弾が頭上を飛び交い、障害物やまれに戦士に当たる。そんな銃声ばかりが交錯する戦場のド真ん中に私(金子)は身を置いていた。
周辺の友軍は既に悉くが壮絶な戦死を遂げ、自軍からの銃声が段々と少なくなっている事が、ここでの戦況を物語っている。

私のステンガンも既に弾切れしており、今は万が一にと背負っていたイサカでささやかな反撃を行っている。私がやられるのも時間の問題と思われたが、たとえ孤立しても今ここでの抵抗をやめる気は毛頭なかった。

せめて一矢報いてやらねば。

その思いに突き動かされ、イサカ1丁で押し寄せる敵兵を押し留めていた。

しかし、衆寡敵せず。正面に展開する敵ともぐら叩きの様に応戦している間に、側面を突いてきた敵の一撃を受け敢無くこの地における私の抵抗は終わりを告げ、私もついさっき同志達が旅立った本陣へと向かう事となった。
 
 

第一章:敵の矢を折れ

今回我々は、千葉県千葉市にあるBBージャングルフィールドで行われた、

「NONSTOP6」

というイベントに参戦した。

6時間休憩無しでゲームを行うという、かなりハードな企画だったが、全体で40名程が参戦という盛況ぶりであった。
我ら人参解放軍からは紅中兵主席、赤口のカタヤン、そして私こと金子の3名が参陣した。

登録時の順番によって個体識別番号が付与される。

各々識別番号は主席が12、私は14、つまりカタヤンは・・・13

こんな時までオイシイところを持っていく同志である。
とはいえ、これは彼にとってラッキーナンバーになるかも知れない。
そんな事を予感させる幕開けであった。

ルールは6時間ノンストップ、勝負はポイント制で敵を倒した数やフィールド内にあるフラッグを持ち帰る事、などで加算されていく。ヒットされても本陣でチェックシートに記入すれば制約無しに復活できる、というものだ。

その中、我々の目を引いたのが

「敵本陣占拠(ブロークンアロー)」

である。

これは加算ポイントも高く、そしてなにより敵に与えるインパクトが「大」だ。
勿論、それだけに難易度も高いという事だが、狙いにいくだけの価値は十分にある。
ただ単に参戦するだけでは済まない、常に大胆な作戦をもって戦場に名を馳せる我々人参解放軍は、これを目標に行動を開始した。
 
 

第二章:開幕の喇叭鳴って

当初、我々はブッシュが薄く進行速度をかせげる左ルートから攻撃前進を開始する事となった。
予定よりやや遅れて、時間はこのとき10:50。

ゲーム開始。
我々は予定通り、左ライン際を進む。が、すぐ敵の強固な防衛線にぶつかり、苦戦を余儀なくされた。
ある程度進撃したのもの、結果として突破をする事は出来ずに終わった。(「序章」参照)

その後、中央・右側方面へと転戦するも、消耗戦となり戦線が動く事はなかった。

そんなこんなのうちに午前が過ぎ、正午となった。
私はたまたま友軍部隊と右側の丘で掃討戦を行っていた。敵は本陣から遠い事もあり少数、損害は出たが制圧には成功した。

この時、近くにいた友軍(仮称・A同志)から提案があった。

「このまま境界線沿いに敵本陣を攻撃しませんか?」

私の目は輝いた。答えはいうまでもない。
我々は、直ちに次の作戦へと推移した。
 
 

第三章:戦場では迷う事勿れ

敵本陣への進攻、しかし戦力はA同志と私の2名のみ。
敵に発見されればひとたまりもないが、天佑は我々に与した。
ブッシュは想像よりも濃く、また主戦線から離れている事もあり接敵する事はなかった。

さらに途中、偶然にも敵のフラッグを発見
そのため、ここで選択肢は2つとなった。

・フラッグ方面に進路をを取り、これを得てポイントを稼ぐか。
・フラッグなど無視して当初の予定通り、敵本陣へと進むか。

ただで取れるなら頂いた後に敵本陣を目指すだけだが、今我々は単に「フラッグが見えた」だけであり、これの奪取には当然ながら交戦とそれによる損害が予想される。
その為、やるならどちらか1つだけだ。
手堅くいくか。華と散るか。

同じくフラッグを目にしたA同志が意見を求めてくる。
だが、私の腹は決まっている。彼にきっぱりと断言した。

「目指すは1つ。敵本陣へ行きましょう!」

A同志も同意、かくして進撃は再開された。

その後も進攻は順調に進み、幸いにも敵に発見される事もなく本陣へ肉薄せる地点に進出した時、思いがけない顔が。

戦場で生き別れた同志、赤口のカタヤンと合流する事が出来たのだ。

聞けば彼も別ルートから敵本陣を目指し、単騎戦場を馳せてきたという。

(ちなみにこの時、同志主席は被弾し本陣に戻っており、当初装填した弾薬(ビクトリアBB弾)がマガジンと相性悪く給弾不良が多発する事から、全てのマガジンの弾をエクセルバイオに換装していた事が戦後判明)

かくして、私、A同志に赤口のカタヤンを加えた3名は敵本陣奇襲隊として、敵の背後へと忍び寄っていく。
 
 

第四章:第一次攻撃隊突入セリ!

敵本陣の様子を伺う。
ゲームマスターのオレンジベスト(各本陣には記録係として1名ずつがいる)、戦死して帰還する兵、復活して前線へ向かう兵。
我々奇襲隊は、その様子だけでなく会話の内容まで聞こえる地点へと接近する事に成功していた。

A同志が目で訴える。

「仕掛けるか?」と。

私はハンドサインで「まだだ、静かに潜行」と合図する。

そう、まだ早い。本陣内に存在する敵兵の数が最小になるまでは。

そう、少なくとも我が眼前にいる2名の敵兵がどこかに移動するまでは。

だが、我々の幸運はどうやらここまでの様だった。
或いはこれもカタヤンを加えた事による必然だったのか。

移動を待っていた2名が、カタヤンに気づいてしまった。
その敵兵が発砲、これが合図となり、交戦が開始されてしまった。

私はステンでその2名を倒すとブッシュを飛び出し、目に付いた敵兵を片っ端から薙ぎ払う。

A同志も敵本陣へ突入、敵を次々と血祭りに上げて行く。

しかし、所詮多勢に無勢。反撃され全滅し、ここに敵本陣奇襲作戦は終了した。

目的は達成できなかったものの、一定の満足感はあった。
これで敵に対し、「人参解放軍ある限り、本陣ですら安全ではない」と誇示することが出来たのだから。

と同時に、もう同じ事は出来まいとも思っていた。

少なくともこの時点では。
 
 

第五章:再来!第二次奇襲隊降臨!

さて、流石の6時間ノンストップ戦、正午も過ぎると皆本陣帰還のタイミングで昼食をとりはじめ、中にはそのまま長い休憩に入ってしまい本陣から出て行かない者が目立ち始めて来た。

これは即ち、前線出動部隊が少なくなった事を意味する。

手薄になった戦線を支える為にも、我が人参解放軍は惰眠を貪る訳にはいかない。我が軍は弾薬と水分補給のみにて、繰り返し出撃を行っていた。

この辺、かつてのベトベト戦でも同様であったが、少なくなった前線兵数を我々の不眠不休の出撃で支え友軍を休ませる。
正に「服務為人民」の精神である。

しかし、この全般的な疲弊状態が同時に敵陣営でも起きているとしたら・・・
午前中には穴の無かった戦線も薄くなり、綻びが生じている事だろう。

午後何度目かの出撃、私(紅中兵)は手勢を率い、戦場右限界線に沿って進攻すると、運良く敵陣営後方に広がる登り斜面の突端まで到着した。
ここまで敵影を見ない。ついさっきまでは同じ方面に何度進出しても途中で必ず2度3度とアンブッシュを受けたのだが。

斜面を登り始めると友軍が1名、前方を探った状態で貼り付いていたので戦況を訊く。

「張り込んでいる奴が1名いて、出ると撃たれるのでここから先は動けないでいた。
だが、貴方達が駆け抜けるなら或いは突破出来るかもしれない」

速度戦と攻撃前進は人参軍にとってお手の物だ。

「では、我々で突破し道を開こう」

同志達も得たりとばかりに頷く。

決断すれば人参軍の行動は素早い。

私と同志金子で、相互にカバーしつつ斜面を上端まで一気に駆け上がる。敵からの反撃はない。

「何か臭いねココ」

「養豚場の臭いですよ」

耐え難い糞尿の臭いに押される様に、我々は登りきった斜面を左折し今度は尾根沿いに敵陣目指して駆け抜ける。
当然相互支援が取れるフォーメーションを維持しつつ、だ。

カタヤンを加え、3名で相互前進を続けるが、敵影も反撃もない。
一気呵成に、先ほどの地点からだと射程外となる遠方まで移動してしまった。
潜伏せる敵は不利を悟って反撃をしてこなかったのか。

ここまで進めたのであれば、、後は敵本陣を目指すのみ。
とはいえ迂闊に動くと谷底の警戒線に視認されるので、ブッシュを選びつつ慎重に歩を進めた。
途中何度か、谷底に動く人影が見え、その度に進攻する同志達に「頭を低く」と手信号を送る。
1人でも発見され、警戒されたら一巻の終わりだからだ。

やがて左前方下部より人の声が聞こえてきた。
どうやら本陣に戻る敵の合流点、或いは本陣そのものが指呼の間にあるようだ。

警戒状態のまま、全軍緩々と斜面を下る。
ふと足音が多いと気がつけば、この列の中には先ほど戦況を聞いた友軍、そして他にも友軍の姿が。

我々人参軍は友軍の合流を得て、巨大な龍のうねりとなって敵本陣に迫りつつあったのだ。

やがて、斜面を半分程度下ったところで各員は横への展開を開始。
各自が横隊陣形をとって敵陣にアプローチを取れる体勢を意識し始めたその時、左に回った友軍が発砲

気づかれた。奇襲開始!

続いて再右翼に位置する同志金子が手にする、ステンの独特な発射音が静寂を破って響き渡る。

私も眼前のブッシュを跳躍し前へ。友軍を狙う敵兵を倒すと、そのすぐ隣には蛍光オレンジのチョッキが。
おお!これはまがう事なき敵本陣への直接攻撃である。

慌てふためく敵はてんやわんや。後で聞いた話だと油断してゴーグルをしていない者までいたという(ルール違反だが)。
こちらには奇襲効果があるとはいえ、休憩所を兼ねているだけあって敵は数が多く、そのうえに撃破した敵は本陣に戻り復活してくるので、潰し合いになると兵力補充の出来ないこちらが不利だ。

敵に損害を与えるが、次の瞬間別のところから反撃を受け友軍は1人・また1人、と消えていく。

しかしそんな中でも、そこかしこで敵のヒットコールが上がり、我々はほぼ全員が1人1ゲット以上の戦果を挙げ、敵本陣を存分に震撼せしめる事に成功した。
特に、本陣奇襲は午前中に1度実施されており、この第二次攻撃は成功の確率が低いという声もあった中での大戦果である。

後に、この「1日に2度敵本陣奇襲」人参軍三大奇襲作戦の1つとして語り継がれる事となる。

また、「人参軍と対峙したら『後方』は無いと思え」と内外の参加者に印象付けた、名勝負として記憶されたのであった。
 




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